私利私欲を追求する資本主義の豚

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読書メモ「弱い日本の強い円」 佐々木融

どうも、豚まんです。

北朝鮮リスクを警戒する動きが出ておりますが、有事のときはまた円高に振れるんだろうなあ。昔読んだ「弱い日本の強い円」のメモを見返して、日本が置かれている前提条件はそれ程変わっていないと 。ただし経常黒字についてはかつてのように貿易で稼いでいた構造が、投資や円安効果による訪日外国人の増加へと変化していることは注意が必要。

為替の動くメカニズムを解説してくれるものとして本書は参考になります。

 

 

引用メモ

・もし、世界中のすべての企業や投資家が、自分が保有する資産の1%を対外投資に振り向けたら、どの通貨が売られるであろうか?それはお金を持っている投資家や企業が多くいる国の通貨である。投資資金を多く持っている国は米国と日本。つまり、世界の投資家や企業が積極的にリスクを取って対外投資を活発化させるような状況で最も売られるのは、米ドルと円になるのである。

・なぜ、円という通貨は世界の景気が上向きな時は最も売られ、世界の景気が下向きな時は最も買われて、結果的に最も変動が大きい通貨になってしまうのか。これにはいくつかの要因が影響していると考えられる

 1. 日本は短期、長期ともに金利が主要国の中で最も低水準である

 2. 金融資本市場が非常に大きく、国内の投資家・事業法人も資金を豊富に持っている

 3. 日本は世界第2位の経常黒字国、巨額の資金フローが「経常的に」円買い方向に流れている*

 4. 日本は世界最大の純債権国

*管理者注:2015年では日本は3位、ドイツが2位 日本の経常収支の推移

・為替相場の大きな流れを予想するには、その時々の投資家や企業の投資に対するリスク選好度を考え、その場合に資本の流れはどちらからどちらに向くのかを正しく理解することが重要である。そして、その際、誰が資本の出し手(日本、米国)で誰が受け手(高金利国、新興国)なのかも理解する必要がある。

・仮に、日本の財政赤字がさらに拡大することを懸念して日本の投資家が日本国債から逃げ出したとしても、こうした性質の投資資金が為替リスクを取りながら海外の債券に投資されるとは考えづらい。

・為替市場への影響という観点から言えば、まず、財政赤字拡大懸念で日本の長期金利が比較的大きく上昇し、その結果、生保等の国内機関投資家が対外債権投資を手仕舞い、国内へ資金を回帰する(この過程で円高になる)と考えている。

・円は1990年以降の過去21年間で見ると、最強通貨である。なぜかと言えば、それは単純に主要国中でインフレ率が最も低かったからである。

・通貨の強弱は国力によって決まっているのではなく、長期的には物価の上昇率の差によって決まる部分が大きい。

・10年、20年先の円相場の予想に対する答えは、どんな時でも同じである。答えは「日本の物価上昇率がこれまで同様、他国の物価上昇率を下回り続けるなら円高方向、逆に日本の物価上昇率がこれまでと異なり、他国の物価上昇率を上回るようになるなら円安方向」である。

・中期的な為替相場の変動要因として重要なのは、国境を跨いだ資金の流れがどちらに向かっているかである。具体的に言えば、国境を越える、

 1. 貿易に関連した資金の流れ

 2. 証券投資に関連した資金の流れ

 3. 直接投資に関連した資金の流れ

 4. これらの資金の流れがヘッジ付きかどうか

・同じ大地震を受けても円とニュージーランド・ドルの動きが異なるのはなぜか

重要なポイントは3つある。1つめは当該国が資金の出し手なのか、資金の受け手(投資資金が向かう先)なのかという点である。日本は明らかに出し手、ニュージーランドは受け手である。2つめは当該国が経常黒字国か経常赤字国かという点である。日本は切開第2位の黒字国(当時)、これに対してニュージーランドは赤字国である。3つ目は当該国が債権国か債務国かという点である。日本は世界最大の純債権国、ニュージーランドは債務国である。このように、日本とニュージーランドでは経済構造が全く異なるため、同じ大地震という現象を受けても為替相場の動きは異なるのである。

・為替市場には、金利が上昇するとか経済成長率が拡大するとかといったことなど無関係に取引をしなければならない主体が数多く存在する。そして、そうした取引によって相場は短期的に上下動を繰り返す。これらはすべて市場のファンダメンタルに沿った動きなのである。

・基本的に、トレーダーや短期の投機筋はチャートに基づいた取引を行う。為替相場はすべてファンダメンタルズに沿って取引が行なわれている。しかし、そのファンダメンタルズをすべて把握するのは事実上困難である。また、短期的な動きをマクロ経済的な変数で説明するのは難しい。そうしたなかで短期的な売買を繰り返す必要のある人々は、チャート分析に基づいて取引を行うのである。

・チャート分析はそれを主に使っている短期筋が主導で相場を動かしているのか、あるいはもっと大きくかつ中長期的な流れなのかを判断するのに非常に有益な情報を提供してくれるのである。

・時折「米国の経常赤字は今に始まったことではないのだから、相場に織り込まれているのではないか」と聞かれることがあるが、経常赤字は実際のフローなので、相場に織り込まれることはない。毎日世界の輸出企業が巨額の米ドル売りを行っているのだから、それを相場に織り込むのは不可能である。